症例解説
神経外科「 環椎軸椎不安定症 」
環椎軸椎不安定症とは
第1頸椎(環椎)と第2頸椎(軸椎)の脱臼や亜脱臼によって安定感が損なわれることで、首の脊髄神経を障害する病気です。第1-2頸椎の安定性を保つためには、第2頸椎の骨の突起(歯突起と呼ばれる)を複数の靭帯が第1頸椎に固定しておく必要があります。多くは先天的に歯突起がない、または小さい、靭帯が形成されていないなどが原因です。後天的な原因としては外傷による歯突起などの骨折があります。

(CT画像:環椎軸椎不安定症の犬では第1頸椎と第2頸椎がずれて〔赤矢印〕、骨の上側の間隔が開いています〔青矢印〕。)
症状
首の脊髄神経を脱臼した頸椎が圧迫することで症状を引き起こしますが、多くは1歳以下で発症します。先天的な異常による頸椎の不安定が軽度の場合は、中から高齢になって症状が強くなり診断されることもあります。症状は、首の強い痛み、足のふらつき、転倒が多くみられます。脊髄の障害が強い場合は、起立歩行が出来なくなったり、呼吸困難、急死が起こり得ます。
診断
- 神経学的検査:神経の反応をみることで、障害の程度や部位の特定を行います。
- レントゲン検査:第1頸椎、第2頸椎の形態や位置の異常を確認します。ほとんどの場合はレントゲン検査で診断することが可能です。不安定が軽度の場合は追加検査を必要とします。首の脊髄神経を障害する他の疾患がないかを確認する目的もあります。
- MRI検査:脊髄の状態を評価したり、神経の合併症がないかどうかをチェックします。
- CT検査:環椎軸椎亜脱臼症の患者は後頭部や頸椎に他の骨の奇形を同時に持っていることがあります。それらの合併症がないかを確認します。また、手術を行うための正確な情報を得ることができます。

(X線画像とMRI画像:第一頸椎と第二頸椎が亜脱臼しています〔赤矢印〕。MRIでは脊髄神経が折り曲げられていることが分かります〔青矢印〕。)
治療
- 内科療法:内科療法:安静、ステロイドなどの投薬、コルセットの装着を行います。手術までに状態を落ち着かせておく一時的な処置として行われます。
- 手術:第1頸椎と第2頸椎をくっつけることで、脊髄を傷害しないようにします。今後患者が命に係わる状態に陥る危険から解放するために手術が最も推奨されている治療です。
- 腹側椎体固定術:複数(通常6本)のピンやスクリューを第1-2頸椎に打ち込み、骨セメントを使用して骨が動かないように固めます。第1-2頸椎の間の軟骨を削り取り、上腕骨から採取した骨のくずを埋め込むことで第1頸椎と第2頸椎を一つの骨として完全に癒合させます。
(手術:6本のピンが骨に差し込んであります。)
(手術後X線検査画像:正しい位置に骨が戻り、6本のピンを骨セメントが固定しています。)
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(手術日のため休診)毎月第2・第4 火曜午後
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※12:00~16:00は手術時間帯となっています
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