熊本市南区 動物病院 烏城ペットクリニック | 犬・猫・うさぎ・フェレット・ハムスター
症例解説

神経外科「 脊髄腫瘍 」

脊髄腫瘍の分類
脊髄は脳からの命令を体に伝え、体からの情報(感覚など)を脳に伝える役割を担っています。脊髄は硬膜という丈夫な膜に囲まれていおり、脊髄腫瘍はできた部位によって3つに分類されます。
硬膜外腫瘍:脊椎腫瘍(骨肉腫、線維肉腫、軟骨肉腫、血管肉腫など)、転移性腫瘍、リンパ腫、多発性骨髄腫など。
硬膜内-髄外腫瘍:髄膜腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、リンパ腫、腎芽細胞腫など。
髄内腫瘍:星細胞腫瘍、希突起膠細胞腫瘍、上衣細胞腫瘍、リンパ腫、血管肉腫など。
症状と診断
腫瘍が脊髄を圧迫するなどして脊髄の機能が低下することで症状が出現します。首の脊髄が障害されると、四肢のふらつきや麻痺が起こり寝たきりになることもあります。胸~腰にかけての脊髄腫瘍では、後ろ半身の障害が出るために腰が立たなくなったり、後肢のふらつきが出ます。発症は急性~慢性と様々で、痛みを必ずしも伴うものではありません。
診断は一般的な検査(血液検査、X線検査等)に加え、神経学的検査、脊髄造影検査、脳脊髄液検査、CT検査、MRI検査によって行われます。特に、MRI検査は脊髄腫瘍の診断には大変有効です。最終的に、腫瘍の種類を確定診断するには細胞診や病理検査が必要となります。
治療
  • 抗がん剤
    リンパ腫や多発性骨髄腫などでは抗がん剤で大きな効果が得られることがあります。他の腫瘍では手術や放射線を選択できない場合やそれらの治療の補助療法として使用されることが多いです。
  • 手術
    手術による摘出を行うことで、早急に腫瘍の容積を減らし、脊髄の圧迫を解除することができます。同時に病理検査で確定診断を得ることができる大きなメリットもあります。
  • 放射線療法
    主に手術や抗がん剤との併用で選択されます。放射線が必要と判断される場合は専門病院へご紹介することも可能です。
症例
  • 髄膜腫
    10歳のミックス犬が立てなくなり、MRI 検査で頚髄の腫瘍と診断され、手術を希望して来院されました。当院初診時には完全に横になり、寝たきり状態でした。
    手術では、硬膜の内側・脊髄の下側に大きな腫瘍が潜り込むような形で存在していました(硬膜内- 髄外腫瘍)。脊髄をさらに傷害しないように慎重に腫瘍を分割して引っ張り出しました。腫瘍摘出後は脊髄の圧迫はなくなり、腫瘍も肉眼的に消失しました。病理検査の診断結果は髄膜腫(明細胞型、グレードⅡ)でした。
    ①:MRI 画像。腫瘍が脊髄の下で大きくなり、脊髄が三日月状に圧迫されています。
    ②:MRI 画像。造影剤でくっきりと白く描出されているのが腫瘍です。
    ③:手術写真。硬膜を開くと、脊髄の下側に隠れるように巨大な腫瘍が存在していました。
    ④:手術写真。腫瘍を引きずり出して摘出しました。
  • 悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNSTs)
    13歳のワイヤーヘアードフォックステリア。四肢のふらつきが徐々にひどくなり、寝たきりになりました。MRI 検査で頚髄の腫瘍が検出されたため、手術で摘出することにしました。硬膜を開くと、脊髄を横から圧迫する巨大な腫瘍が確認されました(硬膜内- 髄外腫瘍)。脊髄を保護しながら分割して腫瘍を摘出していくと、腫瘍が骨の外まで続いていました。腫瘍を追いかけて、可能な限り摘出を行いました。病理検査では、悪性末梢神経鞘腫瘍と診断されました。術後1 週間以内に立ち上がり、軽快に歩行できるまでに回復しました。再発性の高い腫瘍ですが、術後4 か月経過した現在も元気いっぱいに歩いてくれています。
    ① 手術画像:硬膜を開くと、脊髄の横に巨大な腫瘍が存在していました。
    ② 手術画像:巨大な腫瘍の摘出を進めていくと、骨の外に腫瘍が伸びていました。
    ③ 手術画像:足のように伸びた腫瘍も可能な限り摘出しました。
  • 希突起膠細胞腫
    6歳の猫。ある日急に後ろ足が立てなくなり、MRI 検査で胸髄の腫瘍が発見されました。腫瘍は広範囲に広がる大きなもので、一部転移を疑う所見もありました。脊髄の内部に腫瘍が存在し(髄内腫瘍)、脊髄に障害を与えずに手術による完全摘出は極めて困難な状況でした。しかし、抗がん剤、放射線療法など多様な治療法の中から最適な追加治療を選ぶため、腫瘍の一部を採取し病理検査で確定診断することにしました(検査を目的とした手術)。手術では脊髄が腫れている様子が観察され、脊髄の一部に切れ込みを入れると赤い腫瘍がみられ、その一部を採取る ことができました。病理検査では希突起膠細胞腫(グリオーマの1 種)と診断されました。神経症状の悪化も見られず、手術を完了することができました。
    ① MRI 画像(横断像):脊髄内部がほぼ腫瘍で占められています。
    ② MRI 画像(矢状断像):腫瘍は前後に広く伸びて存在し、腫瘍本体から離れたところに転移を疑う病変も確認できます。
    ③ 手術画像:脊髄を一部切開して腫瘍を一塊採取し、病理検査に提出しました。
  • 急性リンパ芽球性白血病
    7か月齢の猫。数日前より後ろ足が動かなくなり、背中周辺に強い痛みがある とのことで来院。血液検査で白血球数が37800個/μl、そのうちリンパ球数が34776個/μlと著増していました。猫エイズウイルス陽性、猫白血病ウイルス陽性でした。骨髄検査では腫瘍性のリ ンパ球が大量に確認され、脾臓と脊髄の細胞診でも同様の腫瘍細胞が出現していました。遺伝子検査ではBリンパ球の腫瘍であることが判明し、診断は「B細胞性急性リンパ芽球性白血病」でした。抗ガン剤療法を開始すると脊髄の痛みが減り、さらに弱くなってきていた足の動きに改善がみられました。これからも抗ガン剤を頑張って続けて、走れるようになってもらえると嬉しいです。
    ①:骨髄検査:腫瘍性のリンパ球が大量に増殖していました。
    ②:脊髄の細胞診:細い針を脊髄に刺して細胞を採取しました。腫瘍性リンパ球が大量に採取され、遺伝子検査でBリンパ球の腫瘍であることが判明しました。
    ③:脾臓の細胞診:血液、骨髄、脊髄と同様の細胞が増殖していました。
    ④:抗ガン剤治療前の様子:前足も弱くなり、寝たきりの状態です。
    ⑤:抗ガン剤治療1週間の様子:前足でお座りの体勢をとることができるようになり、痛みも減りました。

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