症例解説
軟部外科「 猫の巨大結腸症 」
巨大結腸症とは
猫の巨大結腸症は、大量の便がたまり大腸(なかでも結腸)が巨大になってしまう病気です。どの年齢の猫でも発生がみられ、数日から数か月にわたって便が出にくい症状を患って 来院されます。そもそもの原因は、
①不明(これを特発性と言い、どんな検査をしても原因が特定できません)
②便の出口が塞がっている
のどちらかであることがほとんどです(ごくまれに神経などの他の原因のこともあります)。
結腸に大量の便が溜まっていることは病院での触診で容易に確認できます。②の便の出口をふさぐ病気として交通事故による骨盤の変形、腫瘍、異物などがあり、それらの原因がみられないものが①の特発性と診断されます。②の原因を早期に除去できた場合を除いて、いずれの原因であっても慢性的な経過とともに結腸の正常な構造が破壊され、便を肛門まで運ぶ働きが低下してしまいます。
患者は頻繁にトイレでいきんでも便が出ない、長時間排便体制を取っている、排便時に痛がるといった症状がみられます。塊の便が出ないので、代わりに粘液や血便だけが排出されることがあり、下痢をしていると間違われることもあります。その他に、食欲が落ちる、元気がない、体重が減る、嘔吐、脱水などの症状もみられることがあります。
(X線検査画像:横向きで猫の腹部を撮影しています。黄色の矢印が大量の便が溜まって拡張した結腸です。)
(骨盤のX線検査画像:過去に交通事故に会い骨盤が変形しているため、便の通り道が細くなっています。)
治療
- 内科療法
便を排出するために浣腸、点滴、下剤、腸の運動を促進する薬、便を指で掻きだす(通常麻酔が必要)などで治療します。便を出やすくする療法食も併用します。 - 手術
骨盤の変形や腫瘍、異物など明らかな原因によって便の流れが邪魔されている場合、内科療法で十分な改善がなく症状が持続する場合は手術を行います。- 骨盤拡大術:過去の交通事故などによって骨盤が変形しているときに、骨盤を広げて便の通りを邪魔しないようにするための手術です。恥骨切除術、坐骨間恥骨移設術、特殊なボルトを用いた 骨盤結合拡張術などが行われます。
- 結腸部分切除術:結腸の構造が破壊され便を送り出す機能がなくなっている場合は、結腸の一部分を取り除くことで軟らかい便を作り出し、排便しやすくする目的で行われます。
(手術画像:太くなった結腸を引っ張り出しています。黄色点線の部分で切断し、中央の✳︎部分の結腸を取り除きます。)
(手術画像:結腸の一部を取り除き、残った腸をつなぎ合わせました。これで結腸の長さは大幅に短くなりました。)
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診療時間
AM / 09:00~12:00 PM /16:00~19:00【休診】木曜午後、日曜、祝日
(手術日のため休診)毎月第2・第4 火曜午後
※受付はAM・PMとも診療終了10分前までとさせていただきます
※12:00~16:00は手術時間帯となっています
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診療可能動物
犬
猫
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フェレット
アクセス
- 県道50号沿い 杉島交差点北50m
- 九州産交バス「杉島」停前