症例解説
神経外科「 椎間板ヘルニア:頸部 」
椎間板ヘルニアとは
背骨の間にありクッションの役割をしている椎間板の一部(椎間板物質)が飛び出し、脊髄神経を圧迫することで痛みや麻痺が起きる病気です。ダックスフント、ペキニーズ、シーズー、ビーグル、チワワ、ヨークシャーテリアなどの犬種に多くみられます。急性発症の「ハンセンⅠ型」と慢性的な「ハンセンⅡ型」というタイプに分かれます。
症状
飛び出した椎間板が首の脊髄神経(頚髄)を圧迫するため、首の痛みや体の麻痺がみられるようになります。脊髄障害の程度によってグレードが3段階に分かれています。最も重度な脊髄障害が起こると、呼吸筋麻痺に陥り死亡することがあります。
グレード1 | 首の痛みはあるものの、手足の動きに問題はみられません。頭を動かしたがらない、抱き上げたときや頭や首を触ると鳴く、じっとして震えているなどの症状がみられることがあります。 |
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グレード2 | 手足のふらつきや歩き方の異常がみられます。自分で歩くことはできますが、神経の検査で異常が検出されます。 |
グレード3 | 手足の麻痺が強くなり、自分で歩くことや起き上がることができません。 |
診断
- 神経学的検査:首の痛みの確認や神経の反射などをチェックします。
- レントゲン検査:椎間板ヘルニアと同じ症状を出す他の病気がないかチェックすることが主目的になります。飛び出した椎間板物質が確認できることもありますが、基本的に脊髄と椎間板を映し出すことはできません。
- 脊髄造影検査:脊髄周囲に造影剤を満たし、脊髄を圧迫している椎間板ヘルニアをレントゲンで描出します。椎間板ヘルニアを起こしている部位を特定するために実施されます。
- MRI検査:脊髄や椎間板の状態を詳細に評価することが可能で、椎間板ヘルニアの診断では最も理想的な検査です。
(MRI検査:矢印の黒い部分が飛び立だした椎間板物質です。)
治療
- 内科療法:グレードが低い患者では内科療法で症状の改善がみられることがあります。絶対安静を主体として、痛み止めやサプリメントなどの投与を行います。
- 手術:グレードが高い患者や内科療法で回復が十分でない患者、内科療法中に悪化がみられた患者では手術が選択されます。
- 頚部腹側減圧術(ベントラル・スロット):首の骨と椎間板を下側から削り、椎間板物質を摘出する方法です。頸部椎間板ヘルニアのほとんどに対応可能で、最もオーソドックスな方法です。
- 背側椎弓切除術/片側椎弓切除術:首の骨を上側背面から削る方法で、頸部腹側減圧術では椎間板物質が摘出できないようなタイプで行われることがあります。
(手術画像:首の骨の下側から骨を削って穴をあけ〔矢印〕、脊髄神経を圧迫している椎間板物質を引き抜きます。)
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